国語教師×読書

公立高校国語教諭が、読んだ本について徒然に書き綴ります。

「東大」ってつけると、なんでも売れそうな気がしてしまいますね。東大読書。

みなさんお久しぶりです。こんにちは。はこせんです。

気づいたら9月になってました。

夏休みが終わり、生徒達が登校し始め、世界は混沌に包まれ、私は失禁します。

考えてみると2018年もあと4ヶ月しか無いんですよね。

時が過ぎるのめちゃんこ早ですね。たぶんこれが相対性理論です。知らんけど。

 

 

 

ブログ更新久々の本日、ご紹介するのはこちらです。

 

 

 

 

 

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西岡壱誠著 『東大読書です。

 

 

今年の6月くらいに出版されて、結構話題になってましたね。

本屋さんでも平積みされてましたし、装丁も中々綺麗ですしね。

帯には「偏差値35から奇跡の合格を果たした現役東大生の読書法!」なんて書かれてまして、なんかこんなことが書かれてると逆にうさんくさくなる気もするのでやめたらいいのになぁなんて思わないこともないですが、キャッチーですね。

 

で、この本なんですけど、「読書」と銘打ってますが意外と国語科の授業、特に現代文分野においても活用できる知識や技能、考え方なんかが多いんじゃないかなぁなんて感じました。

 

 

 

西岡さんいわく、読書は5つのステップで行えとのことです。

 

  1. 仮説づくり…読み始める前にタイトル・カバー・帯などで装丁読みをし仮説をつくる。
  2. 取材読み…記者になったつもりで読み。質問を考えながら。疑問をもって追究しながら。
  3. 整理読み…一言でその本を言い表せるかどうか。情報を整理する。
  4. 検証読み…2冊以上の本を同時に読む。パラレル読み・クロス読み。
  5. 議論読み…感想や要約などでアウトプットする。もう一度読む時は別の視点を持つ。

 

この5つのステップで読書を行えば、あなたも東大生!というわけですね。

 

さて、この5つのステップなんですけど、そのまままるごと国語科の授業で使えませんか?

 

まず教材文を読む前にこちらから教材文の内容に関係のある発問をして自分なりの意見・考えを持たせて(仮説づくり

その自分なりの意見・考えを解消・発展できるように思考させながら教材文を読ませて(取材読み

その後、その教材文の内容を整理させます。(整理読み

整理させた後は、その教材文に関わるテーマの別の文章を読ませたり、あるいは他の人の意見や考えを交流させたりして思考の幅を広げさせます。(検証読み

そして最後に、これまでの授業のイン・アウトプットの流れを踏まえて、もう一度教材・自己と向き合わせて自分なりの結論を出させます。(議論読み

 

・・・はい。これで一つの単元構想のアウトラインとやらができましたね。

このアウトライン、国語科の授業においてはほぼ全ての科目で用いることさえできるような気もします。まぁ、実践できていはいないので机上の空論かもしれませんが。

で、たぶんなんですけど、これは高校生だけじゃなくて小学校の国語科の授業においても活用できるんじゃないかと思うんですよね。

 

 

 

というわけで、「ごんぎつね」の授業を考えてみました。

 

1 「つぐない」の言葉の意味を確認し、自分がこれまでに「つぐない」をしたことがあるかどうか考える。

 →もし自分が取り返しの付かない失敗をしてしまい、誰かをひどく傷つけてしまったとしたら、自分はどんな行動を取るか。

 

2 ステップ1の段階で考えた自分の考えや意見を、作中の「ごん」の考えや行動と比較しながら読む。

 →なんで「ごん」はこんな行動をとっているのだろう。

 →読んだ後に、生徒達から読んでいて「疑問」は無かったか確認する。あればその疑問について、今後の授業で解消していく。

 

3 ステップ2で出た「疑問」を解消するために、本文を精読する。心情・行動分析。

 

4 ステップ3で分析した「ごん」の心情・行動をもとに、ステップ1で立てた問に対する自分なりの意見・考えをもう一度整理。

 →ごんのしたことは「つぐない」だったのか。それとも「自己満足」だったのか。

 →生徒達で議論させる。自分の意見を発表する際は根拠を明確にするよう徹底。印象批評にならないよう。(自分のこれまでの経験を基にした根拠を可とするか否かは考えどころ。)

 

5 これまでの流れを踏まえ、もう一度自分の考えをまとめさせる。

 

今5分程度で考えた割には、授業の流れ自体はそこそこまとまっているんじゃないかなーと思います。もちろん発問の吟味や、活動のタイミング、時間などはまだまだ考える必要がありますが

僕がここで強調したいのは、この5つのステップの汎用性です

おそらくこの5つのステップは国語科の全ての科目において活用することができると思います。

このステップを常に意識して授業を行うことで、生徒達にもこの5つのステップが身につくかと思います。

そうすると、この『東大読書』に書かれている内容は生徒達の血肉になることでしょう。

そうなればあら不思議。自立した読者の誕生ではありませんか。

 

…とまぁ、若干行き過ぎた内容になってしまいましたね。

ここではあくまでも「5つのステップ汎用性」を強調しておきたいだけで、その5つのステップが全知全能な、全ての人間が身につけるべき資質能力であるかどうかの吟味までは行えていません。

ですが、若者の読書離れが叫ばれている昨今、一つの「読書の方法」として生徒達に身につけさせてもいいのではないでしょうか